このブログではよく「ギター(エレキギター)の打ち込みや音作りがわからん」と嘆いていますが、これまで自分なりに調べたり考えたりしながらJunk Guitarを購入して紹介したりしてきました。
曲がりなりにもこんなブログを晒している以上、記事を見ていただいた方から「Junk Guitarって有償版Kontakt持ってないと使えないので手が出せない、もっとお金かけずに済む音源ないですか?」と相談(twitterつながりの知り合いの方からが多いので、雑談に近い相談)を受けることも何回かありました。
そして、このたび僕はついにその答えを出しました。これしかない。それがタイトルのとおり「Kontakt 5 Player + bx_rockrack V3 Player」なのです。
※冒頭にあるようにエレキギターの音源紹介ですが、おまけでアコギのことも記事の末尾で触れています
ギター本体はKontakt 5 Playerの「Rock Guitar」がそこそこ
まずギター本体ですが、有名なサンプラー「Kontakt」のフリー版(Player)に「Kontakt Factory Selection」という音源ライブラリがあります。
収録されている音の種類は少ないのですが、その中に「Rock Guitar」がありまして、これを選定しました。
Komplete : サンプラー : Kontakt 5 Player : 無償ダウンロード | 製品
ギター一式 のコンパクトなセット音源
上が音源の設定ウィンドウです。
デフォルトでは右下の「CABINET」(アンプとキャビネットが一体型になっているタイプのイメージでしょうか)がオンになっていたり、左下のFXのつまみがある程度回っていたりします。
FXはギターでよく使うエフェクターである、コンプレッサー(COMP)、ワウ(WAH)、歪み系(DIST TONEとDRIVE)に対応していると思われます。
つまり、簡易的にアンプもエフェクターもセットになっており、それらをほどほどに使うプリセットになっています。
が、デフォルトの「CABINET」のみではそれほどいい音がしないので、ここは切ってアンプシミュレーターをインサートすると活躍の幅が広がると思います。
FXのつまみのほうも、いったん切って基本的な音色を次で紹介するbx_rockrack V3 Playerに任せてから、必要に応じて回せばよいと思います。
キースイッチは入っていない
専用ギター音源にはだいたいキースイッチが入っていて、ミュート系だったりスライドなどの奏法のシミュレートができたりします。
残念ながら、この音源にはキースイッチはない(サスティンの音色しかない)ので、そのへんはMIDIの打ち込み方でカバーするしかありません。
この点はデメリットとしては大きくて、DAWによっては、DAW標準の音源にキースイッチありのギター音源が搭載されているものもあるので(Cubase Pro Halion SonicのVXシリーズなど)、そういった音源をお持ちの方ならそちらで十分と思います。
この記事ではあくまで、どなたでも入手可能、かつそこそこ使いやすい音源としてKontakt 5 Playerの「Rock Guitar」をご紹介しました。
初心者が使っても即戦力になる無料アンプシミュレーター「bx_rockrack V3 Player」
で、この記事の本題はこっちです。
Brainworx社のbx_rockrackというアンプシミュレーターがあって、そのフリー版がダウンロードできます。
Brainworx bx_rockrack V3 Player - Plugin Alliance
「プリセットを選ぶ」しかできることはない
とても音が良いのですが、フリー版の制約としてセッティングを一切いじれません(マスターつまみだけはいじれます)。
つまりプリセットに全てをゆだねることになります。そのプリセットの数もあまり多くありません。しかし、そのプリセットはとても優秀です。僕が思うには、ですが。
フリーのアンプシミュレーターにはAmplitubeとかGuitar Rigとか、優秀なものは他にもいっぱいありますが、ギター未経験者が何が苦労するって、アンプの音作りがとにかくわからないのですよね。
ギター経験してなくてもバンドを長くやっていたり、ギターの音が好きで日頃から熱心に聴いている方はそうでもないかもしれませんが、どちらにも当てはまらない僕には本当に難しく感じます。
アンプの音作りがある程度できる(または、できないけど勉強したい)人にはAmplitube等のほうが良いかと思いますが、初心者でも即戦力にできる点でbx_rockrack V3 Playerは素晴らしいです。
アンプに限らずですが、初心者が下手に設定をいじって音を劣化させるのってDTM界では日常茶飯事ですものね。
画面は以下のような感じ。
一見どのつまみもさわれそうですが、プリセットのリストとマスターつまみ以外を触ると、動かしたいなら有償版買おうぜ!的な表示に切り替わります。
音を聴いてみましょう
サンプルです。最近このブログでやたら使いまわしているロック系のデモです。(気に入ってるわけではなくサボっているだけ。)
また、以下はギターだけを取り出した音源です。
このデモの編成は「ドラム+ベース+ギター×2+メロディのシンセ」だけなのでギターの比重はかなり大きい(目立つ)と思いますが、フリー音源としては悪くないと思いませんか?
MIDI打ち込みも全然凝っていませんし、「誰でも再現可能」と思っていただくため、DAW側でEQやらコンプやらで加工して・・ということも全然やっていなくて、フェーダーとパン調整だけです。(唯一、バッキングは擬似的なダブリング処理をして2トラックにしていますが。)
もう少し打ち込みや音作りのレベルが高ければ、さらにまともに聴けるクオリティになると思います。
なお、リードギターは上の画面の「ENGL Leads」というプリセットを、バッキングギターは 「Paula rocks Delay」というプリセットを使いました。
DAW標準と比べる
比較のため、「DAW標準音源から(ほぼ)プリセットを選んだだけ」のギター音源に差し替えてみます。使用DAWはLogic Pro Xです。
「いやいや、いくらなんでもこれは悪意あるだろ」と思われそうですが、ギターの知識がない人がとりあえず適当にプリセットから選んだらこんなんになります、ということで・・
それがアンプだけで(設定いらずで)こんなに変わるんですよ。bx_rockrack V3 Playerがとにかくすごい!
(おまけ)アコギなら「Ample Guitar M Lite II」
ちなみにアコースティックギターのほうなら、フリー音源としては「Ample Guitar M Lite II」(AGML)がとてもオススメです。
自分の周りのボカロPさんでも使っているという人がけっこういました。
さらに言えば、同じamplesoundのフリーベース音源「Ample Bass P Lite II」(ABPL)も良い感じです。先のデモもABPL+bx_rockrack V3 Playerのベース用プリセット(加工なし)で作りました。
以上、バンド系サウンド作りたいけど音源にお金かけられない、という方はぜひ試してみてください!