DTMスキルアップメモ - frenchbread

見習いボカロPがそこそこのボカロPになるまで、が描かれていくはずのブログ。

ミックス基本のフェーダーワークをラウドネスメーターに助けてもらう

ミックスの最も基本である「トラックごとの音量バランス」のとりかた(フェーダーワーク)について、改めて見直そうと思った機会がありました。

僕のようなクソ耳の人が激しい失敗を少しでも防ぐようにするにはどうしたらいいか、と考え「ラウドネスメーターで音量バランスがおかしくないことを確認する」という方法を考えました。

 

見直そうと思ったきっかけ

※本論とは関係ないので、興味ない方は飛ばしてください。

先日以下の記事をアップしたところ、ボカロP仲間の方からは「なるほど使用後のほうがいいね」と意図どおりの反応をいただけたのですが、ある作編曲家の方から「そんなことより基本的な楽器の音量バランスが悪い」と指摘をいただきました。

指摘内容を確認したところ(該当記事の最後尾から飛べますが、この記事でのポイントは後述します)、たしかにおっしゃる通りとしか言いようがなく、そんなにひどかったのか・・と自分でも驚きました。

 

frenchbread.hatenablog.com

 

それから、最近よくお世話になっているzunx2さんというDTMer&ブロガーさんがいまして、迫力ある音作りやミックスがとても上手な方なのですが、彼も「むやみにプラグイン挿すよりまずはフェーダーのバランスが大事」とよく言っています。

zun2xさんのブログ:zunx2の暇つぶしDTMブログVer

 

自分では「自分のミックスが下手なのは、EQやらコンプやらディレイ・リバーブやらの効果的な使い方がわかってないからかな?」と思っていたのですが、それよりもっと手前のところで転んでいたことにようやく気付いた次第です。

 

そもそもフェーダーワークの基本って?

みなさん、いったいフェーダーワークの基本はどう習得したんでしょうか。

僕は最初は完全に行き当たりばったりでしたが、有名な下の本を読んで初めて「歌モノを作るなら初心者はまずこのあたり目指したらいい」という指針に触れることができました。

以降はそれをなんとなく頭に置いてバランスをとっている・・つもりでした。

 

www.rittor-music.co.jp

 

その指針については、あまり詳しく書くとパクリになってしまいますが、記事の都合上、主要部分の結論だけ紹介しておきます。

  • キックを最も大きく、次にボーカル
  • ついでスネアとベース。キックの9割くらい
  • その他バッキングはそれより小さく

「9割」は何らかの数値的指標ではなく、あくまで聴感的なイメージです。

また「バランスは曲によって違う」と思われる方もいるでしょうが、この書籍は初心者のためにわかりやすく割り切って書かれているものなので、ベーシックな方針として示されているというニュアンスです。

 

「ラウドネス」は比較的、人間の聴感上の音量に近いらしい

さて、ほとんどの方はご存じと思いますが、音量レベルのデジタルな指標の代表的なものに以下の3つがありますよね。

  • Peak:波形の振れ幅のうち最も大きなもの。人間はごく短い音はあまり大きく感じないため、聴感上の音量とはあまり紐付かない。Peakが0dbを越えると音がクリップする
  • RMS:波形の振れ幅の平均量。音圧の基準としてよく使う。
  • ラウドネス:音の周波数により人間の聴感上の感度が異なるため、その性質に応じて補正を行った値。聴感上の音量に近い。

 

Peakは瞬間的な振れ幅の最大値に過ぎないので、たとえば「スネアの音量をキックの音量の9割くらいにしようとして、メーターのPeak値を参考にした」とやってしまうと、まず意図とは大きく異なる結果になる可能性が高いですね。

では、参考にする値がラウドネスなら、比較的狙いに近い結果が得られるのではないでしょうか?

 

ということで、以下の方針でフェーダーワークを行うという実験をしました。

  1. サビ頭の4~8小説くらいをキックのソロで再生しながら、ラウドネスを計測する
  2. 同じ箇所をボーカルソロで再生しながらラウドネスを計測し、キックのラウドネスを超えないようにボーカルのフェーダーを調整する
  3. 以下同じように、ベース&スネア、ピアノやギター・・と続けていく

 

実験結果

では当ブログ恒例のビフォーアフター。まずビフォーは前回記事でミックスした音源です。

指摘を受けた音量の問題点としては大きく「ベース・ピアノが大きすぎる。ピアノに至ってはボーカルより大きい」でした。

 

そしてアフター、前述の方針でフェーダーワークを行った結果です。

 

ベースについては比べるとビフォー音源は明らかに大きいとわかります。ピアノはアフター音源ではおとなしくなりましたが、フレーズはちゃんと聴こえますね。

またベースやピアノが下がったため、アフター音源ではスネアがはっきり聴こえるようになっています。

 

アフター音源の主要パートのラウドネス値(サビ頭8小説)は下表のとおりです。

(ビフォー音源も併記したほうが良いと思うのですが、記録し損ねていたため後の祭り・・)

 「9割」といった数字は特に気にしていないのと、ボーカルはキックより大きい数値ですがハモりも含んでいるので、大きさの順序としては「音圧アップのための〜」に忠実に従ったつもり、です。

パート ラウドネス値
キック -27.2
スネア -30.4
ベース -30.6
ボーカル(ハモり含) -25.0
ピアノ -31.5

 

それから参考までに、両音源のEQのスナップショットです。ビフォー・アフターの順です。

今回はEQによる個々トラックの帯域バランスの見直しは基本行なっていませんが、ビフォーではローカットしすぎていたので、アフターではその点少し補正しています(それでも削りすぎでしょうか?)

そこを除いて比べると、ビフォーではベースが大きかったためか100-200Hzが膨らんでいること、高音域がかなり小さいことがわかります。

f:id:naoki-horiuchi:20180526103044p:plain

f:id:naoki-horiuchi:20180526103030p:plain

 

よく比べないとわかりづらいかもしれないので、LogicのMatch EQというプラグイン(リファレンスの帯域分布に似せたEQを設定するためのツール)を応用して差を視覚化すると以下のようになりました。

「水平線より上がっている帯域=アフター音源がビフォー音源より大きくなった帯域」です。

f:id:naoki-horiuchi:20180526104151p:plain

 

まとめ

今回のやり方のように細かい数値を計測して微調整しながらミックスをするというのは非音楽的な話で、まったく理想的な方法ではないことは自分でも承知しています。

とはいえ、僕のようにミックス沼で完全に溺れている人は、どこかで客観的な判断を入れるために計器の助けを借りるのも手段の一つかなと思います。

自分のフェーダーワーク、実はおかしいかも?と思った方、一度試されてみてはいかがでしょうか。