DTMスキルアップメモ - frenchbread

見習いボカロPがそこそこのボカロPになるまで、が描かれていくはずのブログ。

耳に自信がなくても使えるiZotope Neutronのミックス活用手法

長いこと音作りやミックスに悩んでいます。

こんなに長く一つのことに悩むのは、昔の実らなかった初恋のとき以来なのではないか?と思うくらいです。

って、そんなこと誰も聞いてないですね。さてiZotope Neutronのお話です。

 

iZotope Neutronの概要

基本的にはEQ、コンプレッサー、エキサイターといった基本的なプラグインのセットパッケージです。

そこは別にどうということはなくて(優秀なのかもしれないけど)、目玉は「トラックアシスタント」機能と「マスキングメーター」機能です。

前者は指定したトラックの音を解析して、EQやコンプレッサーの自動設定をしてくれる機能。後者は、2つのトラックの周波数帯域のかぶり、すなわりマスキングが起こるゾーンを検知してくれる機能です。

「もうちょっと詳しく」「それってどうすごいの?」という点は他のサイト・記事で十分に説明されているのでこの記事では省略します。1つ有名ブログ様(こおろぎさんち)の記事だけご紹介しておきますね。

 

トラックを解析し自動で適切なコンプとEQをかけてくれるプラグインエフェクト「Neutron」でミキシング2.0の時代へ

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トラックアシスタントはトラック単体での音作り補助機能

本論はここからです。

僕(ニコニコ動画にボカロ作品投稿して1,000〜2,000再生くらいの下級DTMerです)はトラックアシスタント機能を目当てにNeutronを買いました。

この機能を使えば、フェーダー・パン設定やリバーブなどの空間系は自力でやるとして、それだけでミックス70点くらいの、自分のレベルとしては十分な結果が得られるのではないかと思っていたんです。

いやー甘い甘い。

 

で、実際に使ってみて「これは音作りの補助機能であって、ミックスの補助機能ではないな」とわかりました。

 

というのも、一般的にミックスと呼ぶ工程、特にプラグインエフェクトの設定をする作業は、「トラック単体の音作り」の要素(単独最適化)と「他トラックとのバランス調整」(全体最適化)の要素に分かれると思います。

トラックアシスタントは他トラックとの関係は考慮せず、トラック単体での自動解析・設定を行う機能ですので、単独最適化の提案機能になるわけですね。

 

 

またどうやら、たとえば対象トラックがギターだとすると、トラックアシスタントは「ギターとしての理想の帯域分布や波形に近づける」という働きをするわけではなく、「これはギターだから、こういうEQやコンプのかけ方がいいんじゃない?」というプリセット的な提案する機能のようです(※)。

といっても現在の音量や帯域分布を解析してパラメータを設定してくれるので、ただのプリセットよりとても便利なんですが。

(※)試しにNeutronを多段掛けしてみると、重ねるごとに設定の強さ(たとえばコンプのレシオ)が収束するということはなく、似たような設定でエフェクタをセットし続けます。

 

なので、トラックアシスタント機能はスゴいんですが、以下のことは肝に命じる必要があります。

  • 決してミックスの提案をしてくれるわけではない
  • 個別トラックに対しても「とりあえず差せばいい」というものでもない(あくまで主要エフェクタセットのプリセットの進化版)

 

ミックスに役立つのはマスキングメーター

一方、僕のような下級DTMer(この表現くどい)がミックスにおいてよく悩むことの1つがマスキング問題です。

フェーダーやパンはそれなりに考えて設定した。アレンジも配慮したつもり。だけど音源を仕上げようとすると音がダンゴ状態になっていたり、その影響もあって音圧が十分に稼げなかったり・・。

実際には「ミックス以前にアレンジが悪い」という原因のほうが大きいかもしれませんが、ミックスで問題を緩和しようとした場合、EQなどでマスキングを回避することは対策の1つになりますよね。

ただ、これがなかなか下級(略)には厳しくって、たとえば2つのトラックのEQのアナライザーを立ち上げて同時に眺めて「なんとなくこの辺が干渉してるかな?」と推測したりするものの、妥当な設定ができているのかまるで自信がもてません。

 

そこでNeutronのマスキングメーター機能の出番です。

下のような感じで、干渉している帯域が白く光ったり赤いメーターが飛び出たりするので、譲ってあげる側(この例ではピアノとボーカルの干渉をチェックしていて、ピアノが譲ってあげる側)のトラックのその帯域を下げればOKということになります。

ビジュアル的なサポートが強力なので、パラメータ設定がだいたいで良ければ初心者でも難なくできます。いや、だいたいじゃダメなんでしょうけれども。

 

(2018/5/10追記)僕が使っているのはNeutron 2ですが、1には上部のメーター(赤や白のバーの部分)がないようなので2より少し操作しづらいかもしれません。

 

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こんな使い方をしてみた

以上の考えから、次の方針でNeutronをミックスに使ってみました。

  1. 単体トラックに対してトラックアシスタント機能は使わず、マスキング調整のみの用途でNeutronを使う
  2. マスタートラックに対してトラックアシスタント機能を使う

 

2は本来のNeutronの用途ではないのでしょうけど、マスタートラックに対して各種エフェクタをインサートすることは普通にありますし、マスタートラックだけに「単独最適化=全体最適化になる」という考えから、使っておかしいことはないだろうと判断しました。

初心者にはどう使えばいいかいまいちわからないマルチバンドコンプなんかもしっかり設定してくれるので、他に有力なマスタリングツールを持っていない方には十分戦力になるんじゃないかと。

 

では、当ブログおなじみの「微妙なクオリティのBefore / After」いきましょう。

まず、Neutron使用前の仮ミックスです。単体での音作りや、フェーダー・パンの設定は終えています。

 

続いて、前述の方針によるNeutron使用後状態です。

 

なかなか微妙なところですが・・(笑)後者のほうがボーカル(ボカロ)が聴こえやすくなっているのと、低音の重たさが少し解消して明るい印象になったと思いませんか?

 

以下、実際にやったことをもう少し詳しく書きます。

 

マスキング調整
  • キックとベースでマスキングのチェックを行い、ベースの低域を一部カット
  • ピアノ・ギター・その他上モノ(ストリングスやシンセ)すべてとボーカルのマスキングをチェックし、干渉する帯域をそれぞれカット

この2点です。ストリングスやシンセまで対象にする必要があったかはわかりません。 

 

マスタートラックへのトラックアシスタント適用

仮ミックス版は高域が少し弱いように思われたので、Styleは「Upfront」、Intensityは「Middle」にしました。

「Upfront」は中高域を持ち上げたり、アタック感を強める方向に作用する設定です。

Intensityは強くするほど、EQのブースト/ゲインを積極的に行ったり、コンプのレシオが大きくなったりします。

 

適用結果の例として、EQの自動設定結果は以下のようになりました。

超低域および低音が集まりがちな300Hzあたりをカットするのと、高域にはごそっと持ち上げる、という判断をしてくれたようですね。

 

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いかがでしょうか?

「すんげーいいじゃん!!」と思ってくれた人は・・少ないと思いますが、ほんのちょっとでもミックスを改善できて、Neutronさえあれば誰でも再現できそうな使い方だと感じてもらえれば嬉しいです。

それではまた!

 

 

(2018/5/14追記)

この記事を書いたら、プロの作編曲家・DTM講師であるえきさんに「このミックスの問題点が何か」の解析記事を書いてくださいました。

おそらくプロの耳で聴けばバランスがおかしいのはすぐわかるのでしょうが、ここまでに丁寧に示していただけると説得力がすごいです。

これは勉強になったわ・・

eki-docomokirai.hatenablog.com