DTMスキルアップメモ - frenchbread

見習いボカロPがそこそこのボカロPになるまで、が描かれていくはずのブログ。

初心者向けピアノ打ち込み術(①基本のバッキングアレンジ編)

こんばんは、frenchbreadです。今回は久しぶりにノウハウ系記事です。

題材は「ピアノの打ち込み」ですが、打ち込みのコツやテクニックについては「そもそも自分が人様に開示するほどの技術を持っていない(自分が知っていることは他の初心者も知っているだろう)」と思ってこれまで扱うことを避けてきました。

とはいえ、鍵盤楽器に触ったことがなくDTMをはじめたばかり、という方には有用な情報もあろうかと思ったので、比較的私がまともに扱えるピアノの打ち込みについてまとめようと思います。

f:id:naoki-horiuchi:20171104111552j:plain

 

この記事が役に立ちそうな人と目標レベル 

以下にあてはまる方なら、この記事を読む価値があるだろう。「いやいやさすがにそれは」という方には、おそらく当たり前のことが書いている記事になるはずだ (*)。

  • ピアノ?コードを白玉で並べておけばいいんじゃね?と思っている
  • ピアノの音域は通常どのあたりを使うのかわかっていないが、適当に試して打ち込んでいる
  • ベロシティは基本はベタ打ち派!だってめんどくさいし

目標レベルは「ピアノが目立つ曲でなければ、オケに混じって聴く分には違和感がない程度のバッキング打ち込みができる」である。

 

なお、アコースティックピアノを題材としてはいるが、今回触れる範囲では全てエレピと読み替えても問題ない。ポップス編成の中のやや目立たない鍵盤という想定からすると、むしろそっちのほうが自然かもしれない。

 

(*) この記事よりもう少し応用的な内容の記事として以下を用意しています。人によっては役に立つかも?

frenchbread.hatenablog.com

 

サンプル

4小説の簡単なサンプルを用意した。曲の冒頭、歌と静かなピアノ伴奏のみではじまるシーンというイメージだ。

(本当はポップスのバッキングなので、他のパートも入っている方がリアルなのだが、聴いたときのわかりやすさを重視。)

 

f:id:naoki-horiuchi:20171103230916j:plain

 

「右手はコード弾き、左手はルート」が基本

鍵盤は通常、右手と左手を両方使って音を鳴らす。

そりゃそうだろって話だが、あまりにも演奏を想像しないで打ち込むと、先ほどの「この記事が役立ちそうな人」で挙げたように「(片手分の)コードだけ白玉で置いておけばいい」という発想になるかもしれないので念のためである。

右手と左手の役割は様々だが、ポップスのバッキングとしては「右手はコード弾き、左手はルート」が基本形なので、今回はこのパターンだけを相手にする。

右手は4分音符(もちろんテンポや曲調によって8分などのときも)のいわゆる4つ打ち、左手は全音符や2分音符など、もう少しゆったりした音の置き方をする。

 

これでも最低限成り立つと言えば成り立つが、単調すぎるので変化を加えていく。

サンプルでいえば、右手部分は1小節目と4小節目の4拍目がそれにあたる。特に4小節目の4拍目のように、メロディが途絶えたところにオブリガート(短いサブメロディ的フレーズ)を入れるのは定番である。

ところで、もし鍵盤系の知識が全くない方なら「コード担当パートなのにコード以外弾いちゃったらコード感失われないの?」と思うかもしれないが、これは後述のサスティンペダルが解決してくれる。

左手は、コードの始まりではルートを弾くようにして、適宜5度の音や経過音を入れる。ベースの音の置き方と基本は同じだが(※1)、右手のフレーズとの関係を意識して、サンプルでは右手部分が淡々と4つ打ちしている2小節目と3小節目に動きを入れるようにした。

 

(※1) そもそもピアノは単体演奏できる楽器であり、そしてあらゆる演奏においてベース的要素は必須に近い。なのでピアノ自身でベースの役割も担うように演奏することが慣習となっている。ただバンド編成になると同じ役割を2者が担うので、後述のベースとの音域かぶりを考慮する必要が出てくる。

 

右手の音域、弾くコードの構成音

右手のコード弾き部分については「具体的にどういう音域でどのコードの構成音を弾くか」を決めていく必要がある。

まず音域については、よく言われるのが「C3(※2)をまたぐようにコードの構成音を配置する」で、迷ったらとりあえずコレでいいだろう。

サンプルについては、それより少し高めの音域になっている。これは冒頭C add9の9th (D4) をトップノートとして聴かせたかったのと(メロも低い音から始まるので、1オクターブ下げるとかなり全体が低く感じた)、以降も音域を大胆に変えてしまうと違和感が生じるので、自然に聴こえる範囲で少し下げたというニュアンスである。

 

それからコードの構成音。

まず大前提として、右手も左手も、一度に鳴らす音は1オクターブの範囲内に収める必要がある。指が届かないか、少なくともかなり届きにくいからだ。(欧米人男性なんかだと1オクターブ+全音くらいなら普通に届くようだ。)

もう1つ前提として、あまり近い高さの音を同時にならすと音は濁る。ギターなら弦自体が4度ほど離れているのでほぼ自然に回避できるが、ピアノはむしろ近い音のほうが鳴らしやすい。たとえばC add9(ドミソレ)を右手で「C3とD3とE3とG3」と同時に弾くと簡単だが、音色にもよるものの濁る恐れがある。

 

以上を踏まえると「1オクターブ内に収めつつ、音域的に密集しすぎないように適度に音を抜く」が基本となる。

ただしコードが3和音の場面は、音を抜かなくても構成音は3つだけなので、あえて薄い空気感を出したい意図などがなければ、特に省略はしなくてよいだろう。 

ではどの音を抜くか、だが、第1候補は左手も弾くルート音になる。そもそもピアノに限らず、7th以上のコードにおいて、ルート音はあまり高い音域で使わないほうが無難である(7thの音とぶつかりやすいため。もちろんメロディやトップノートとして使う場合もある)。

次に抜く候補は5度だ。左手側でカバーする場合もあるという理由が1つと、5度の音は省略してもコードの響きを損なわないことが多いためである。

(メジャーコード、マイナーコードでは3度の音がコードの特徴を出すために重要だが、5度の音は”共通の常識”的な音であるため重要度が低い。またaugやマイナー♭5であれば、逆に増5度や減5度の音がコードの特徴の音なので抜いてはいけない。)

これでだいたい、通常のポップスで登場する9thくらいまでのコードには対応できる。11th以上を頻繁に使うのはジャズ系くらいなので、この記事では触れないでおく。

 

(※2) ヤマハ式表記(A3=440Khz)の場合。国際式表記だと1オクターブ上になる。この記事では全てヤマハ式表記にするのでご注意ください。Cubase、Studio One、Logicはヤマハ式のようですが、Sonarだと国際式表記だったり、FL Studioに至ってはさらに1オクターブ上らしいです。

 

左手の音域、音の置き方

左手の音域としては、鍵盤が用意されている限り低い音を使ってよいとも言えるが、実際の鍵盤楽器の仕様も考慮すると、目安としてこんなところではないか。

  • ピアノをぐっと聴かせる曲であればE0以上
  • ポップスのバッキング程度であればC1以上

E0は76鍵ピアノの最低音、かつ一般的なベースの最低音であり(なおDAWのベース音源はあらかじめ音高を1オクターブ下に設定されていることが多い)、C1は61鍵キーボードの最低音である。

 

(参考)フルスペックのピアノは88鍵だが、クラシックでもなければフルレンジは使わない。76鍵が実用的に十分なスペックとされるクラスで、ほどほどな電子ピアノや大型シンセに多い。61鍵は「本格的な演奏は無理だが、バンド中のライトのキーボードパートくらいならOK」というニュアンス。

 

上限は特にないが、右手がC3前後に音を集めるのが基本と考えると、おおむねG2以下あたりに納まることになるだろう。

それから、音域と関連して注意すべき点として「低音になるほど1音階あたりの音の幅が狭いので (※3)、音高が近い音を密集させると濁る」という点がある。

具体的にはC2未満の音域で3度以下の和音を同時に鳴らすのは要注意と見ておくとよいと思う。

 

音の置き方としては、前述のとおり「基本はルート」なのだが、もう少し言うと「ルートのオクターブ重ね」が左手の演奏スタイルとしては定番になる。

上述の「左手の担当が低音域なので、近い高さの音を同時に弾くと濁る」点や、演奏のしやすさを考慮した、現実的な最適解ということだと思う。

ただしポップスのバッキングにおいては、先にも書いたように低音の要たるベースが同じ役割を果たすので、ルートのオクターブ重ねをすると低音がこもりやすいという問題が生じる。

なので「オクターブ重ねはせず、ルート音中心に配置する」が初心者としては無難であり、「オクターブ重ねをするなら、ミックスにおいてベースとの棲み分け注意」ということになる。

 

(※3) A1=110KHz / A2=220KHz / A3=440KHzというふうに、オクターブ差=周波数が倍々になっていく関係なので、A1とA#1の間隔はA2とA#2の間隔に比べて狭い、ということを指している。

 

サスティンペダルで響きのリッチさを

サスティンペダルは、踏んでいる間、鳴らした音を伸ばし続ける(鍵盤を抑えたままの状態を再現する) 機能をもつ。

ピアノの音は鍵盤を放すとすぐに途切れてしまうので、手だけでコードを抑えようとすると、指を離す間隔をよほど短くしない限り、スタッカート的な演奏になってしまう。

曲調や使用場面(全パートでキメを入れるところなど)によっては短く区切られた音が必要になるが、メロディの裏でバッキングを担当しているだけのシーンでは、ペダルを踏んで響きを残すのが基本である。

具体的にはサンプルのように、コードの切れ目でペダルをオフにして、すぐに(次のコードの最初の音が鳴っている間に)オンにする、という動きを繰り返せばよい。

これによって、途中でコードの頭で弾いた音と違う音を演奏しても、コードの響きが残り続けることになる。

たとえばサンプルの1小節目のC add9の箇所は、3拍目までトップノート「レ」を弾いているが、4拍目では違うフレーズを弾くので「レ」の音自体は発音されない。しかし3拍目で弾いたときの音が伸び続けているので、4拍目の間もコード感は失われない、ということである。

 

なお、ペダルを外すタイミングは「次のコードが始まった直後」がオーソドックスである。「次のコードが始まる直前」だと、コードの切れ目の直前に音が途切れてしまうためである。ただバッキングの演奏だけであれば、他のパートも何かしら音を出していたりするので、「次のコードが始まる直前」でもあまり違和感はない。

 

 

【この記事の続編はこちらです】

frenchbread.hatenablog.com

 

 

ピアノ音源◆XLN Audio Addictive Keys Studio Grand◆並行輸入品ノンパッケージ/ダウンロード形式

新品価格
¥6,750から
(2018/7/19 07:12時点)