DTMスキルアップメモ - frenchbread

見習いボカロPがそこそこのボカロPになるまで、が描かれていくはずのブログ。

初心者が初心者に向けて書いた、Cubase標準でのEDMの作り方

この記事はEDMの初心者向けハウツー記事ですが、書いた僕はまごうことなきEDM初心者です。というか、EDM以外のDTMもほぼ初心者の域です。

つまり、バギを覚えたての僧侶がレベル1の魔法使いに「攻撃呪文の基礎を教えてやるゼ!」とイキっているようなものですね(?)

 

この記事では、初心者はあまりMassiveやらBatteryといったEDMに強い有料音源を持っていないということを前提に、Cubase付属音源とプラグインを使った制作方法をご紹介します。

ただし、僕はCubase 8.5 Proを使っていますが、バージョンによってはRetrologueがなかったり、CubaseでもElementやAIだとサイドチェインが使えないようなので、その点はご容赦くださいませ(一応、代替手段もご紹介します)。

逆に、音源やプラグインの使い方に重点を置くわけではないので、Cubase以外のユーザーの方にも参考にしていただける部分はあるかと思います。

 

作者のサンプル

「かえるのうた」をEDMにしてみたというサンプルです。

この記事のレベル=このサンプルくらいのクオリティと思っていただければ。

www.nicovideo.jp

 

EDMっぽくする最低限のポイント

EDMと言ってもZeddのようなポップスに近いものから、ノリだけに重点を置いているようなものまで様々ですが、ある程度の基本は共通しています。

 

①楽器編成:電子ドラム+シンセ+SE

②構成:ビルドアップ→ドロップ

③リズム:4つ打ちキック&サイドチェインによる裏打ちベース

 

以下、これに沿って説明していきます。

 

①楽器編成:電子ドラム+シンセ+SE

1)電子ドラム

生ドラムではなく電子ドラムを使います。

一般的には「TR-808」「TR-909」というメジャーなキットが定番であり、HALion Sonicにも「T8」「T9」という名前が入っているプリセットがそれです。

またGroove Agentの、Dub(「ダブステップ」のダブですね)とかDanceとかElektroとかの系統のものもEDM向きです。

「かえるのうた」ではDubstep Kit01を使いました。

もっと凝るなら、後述のオーディオ素材を駆使して独自セットを作ることもできますが、ベーシックなものならプリセットでも十分かと思います。

 

2)シンセ

ベース、コード楽器、メロディ楽器などありますが、全部Retrologueでいけます。

(Cubase標準にはPrologueもあるが、シンセ初心者にはRetrologueのほうが入りやすいと思います。まあこの辺は単に好みかもしれませんが。)

 

f:id:naoki-horiuchi:20170723175521p:plain 

シンセのパラメータをいじるのは初心者として挫折しやすいところなので、基本はプリセットをそのまま使いつつ、せいぜい以下くらいのカスタマイズにとどめれば十分でしょう。

 

・右上AMPLIFIERのADSR。アタックが弱いorキツいならAを、音が持続しすぎるor減衰しすぎるならS(D)を、余韻が寂しいorうるさいならRを動かす。RはFXのリバーブやディレイでの調整もあり。

・音をもう少し高くしたり低くしたりしたければ(MIDIのオクターブ上げ下げだとうまくいかない場合)、OCTAVEのつまみをずらす、または左下SUBをON/OFFする、またはそれぞれのオシレータ(OSCILLATOR)のMIXで調整する。

 

3)SE

オーディオ素材は、随所にいい感じに入っているだけでビギナーっぽさを払拭できる感がありますね。そしてCubaseのメディアベイの素材群はなかなか使えます。

オーディオ素材は探すことがめんどくさいのが難点ですが、覚悟を決めて「Electronica/Dance」などでフィルタして、片っ端からプレビューしていくしかないです。はじめてみると意外にハマります。

ピックアップしたオーディオ素材は、切り刻んだりフェードアウトかけて尺調整したり、移調して高さを好みにものに変えると楽曲により馴染むことがあります。このくらいであればメインウィンドウ上の操作で簡単にできます。

 

「かえるのうた」でも、謎のDJっぽいボイスや、かえるの鳴き声っぽい「くわくわ」という音など、随所でメディアベイのオーディオ素材を使ってみました。(冒頭や末尾のリアルなかえるはニコニ・コモンズの力を借りました。)

 

②構成:ビルドアップ→ドロップ

ポップスの「A/Bメロ→サビ」と同じといえば同じなのですが、サビ本体が盛り上げポイントのポップスと比べると、EDMでは「ドロップ」に入る直前を限界まで盛り上げるのが基本です。

定番手法は以下の3つです。

 

1)スネアのスピードアップ

「タン、タン、タン、タン、タンタンタンタン タタタタタタタタ」みたいなアレです、アレ。で、伝わりますよね?笑

下に簡単なMIDIノートのイメージを添付しましたが、下から2段めのC#1の音がスネアです。間隔をどんどん短くしていくだけですね。

この例はかなりそっけない部類でして、次の「ピッチ上昇」と併用して16小説くらいかけてジワジワ盛り上げることも多いです。

 

f:id:naoki-horiuchi:20170724210646p:plain

 

2)ピッチ上昇 

 クライマックスに向けて、スネアや効果音的な音色のパートのピッチを上昇させていきます。

自分でオートメーションを書いてもいいですし、Cubaseのオーディオ素材には最初からそういう効果がかかった音も入っていたりします。

「かえるのうた」では素材をそのまま使わせてもらいました。こんなやつです。

 

 

3)ノイズのローパスカットオフを上げていく

ノイズのトラックを用意します。

Retrologueで、これだけはプリセットを選ばずに作りましょう。

まず左側のオシレータ(OSCILLATOR)の中から、NOISEだけを選択します。タイプはホワイトノイズ。 

 

次がちょっと難しいです。

FILTERのSHAPEをLPxx(ローパス:CUTOFFで指定した周波数より小さい周波数だけをとおす)に設定して、はじめは真ん中の中低域くらいにしておいて、盛り上がるのと同時につまみを右にまわしていくオートメーションを書きます。

そうすると、最初は400Hzくらい以下の周波数の音しか出ていなかったのに、少しずつ高い周波数の音域が通るようになるので、音が明るくなっていきます。

 

f:id:naoki-horiuchi:20170724212048p:plain

 

なお、上の図ではレゾナンス(RESONANCE)が0ですが、ここのつまみを回しておくと、音のエッジが際立つこともあるので、試してみてください。

 

1+2+3)全部あわせると?

こんな感じになります。

後半で風の音のようにジュワーー!と鳴っているのが3のノイズです。

 

 f:id:naoki-horiuchi:20170724212955p:plain

 

③リズム:4つ打ちキック&サイドチェインによる裏打ちベース

EDMでは4つ打ち、すなわち4/4の1拍単位で淡々とキックを配置するのが鉄則です。

その強固な低音のビートを邪魔しないように、もう一つの低音の要であるベースはサイドチェインという手法で音圧を操作することが定番です。

 

サイドチェインって?

・音圧のデコボコを平坦にするおなじみのエフェクト「コンプレッサー」を使って、ベースの音とキックの音がぶつかるところを圧縮する手法。

・「コンプレッサー」は通常、一つのトラックの中でのデコボコを平坦にするのに使うが、サイドチェインの場合は「キック+ベース」のトータルの音量に対してコンプレッサーをかける。ただし、音圧を抑える対象をベース側だけにするのが特徴。

・イメージとしては、ベースに対してキックがサイドから割り込んできて一体化(チェイン)する。音圧の天井にぶつかって、割り込まれた側のベースがつぶされる。という感じだろうか。これで、「ぐ↓わーん↑ ぐ↓わーん↑」と音量がウネウネするベースができあがる。

 f:id:naoki-horiuchi:20170724214420p:plain

※画像は偏ったDTM辞典から拝借しました。

 

冒頭にも書きましたが、サイドチェインが使えないDAWの場合は、このブログの記事ではありませんが、↓こちらを参考にすると良いのではと思います。 

dtm-matrix.net

 

サイドチェインの手順

実装する場合の手順です。

①ベースにコンプレッサーをインサートし、サイドチェインを有効にする

②キック(Outを他の音とバラしておく)のSENDにベースが選択できるようになっているので、ベースに送り込む

 

f:id:naoki-horiuchi:20170724221236p:plain

 

・・画像の編集が致命的に下手だという指摘は断固として耳を塞いでおきますね。笑

 

ここまでやれば、あとは普通のコンプレッサーです。GR(ゲインリダクション)がウネウネと縦に動き回るように、スレッショルドやレシオを設定してやればOK。

上の具体設定ではAttackが0.1で、ベースの立ち上がりを完全につぶしていますが、少しAttackを増やして(コンプの効きはじめを遅らせて)ベースのアタックを聴かせるほうがいい場合もあるでしょう。

 

サイドチェインについては、有名なSleepfreaks様の説明動画がとてもわかりやすかったので、あわせてご紹介しておきます。

www.youtube.com

 

なお上の動画でも説明されていますが、サイドチェインはベースにだけかけるとは限りません。

「かえるのうた」でも、パッド(高めの音域で、もわーんと薄く鳴っている音)にもサイドチェインをかけました。