DTMスキルアップメモ - frenchbread

見習いボカロPがそこそこのボカロPになるまで、が描かれていくはずのブログ。

コラボ作品「Blue」をニコニコ動画に発表しました

最近、記事を書くことにどうも抵抗というかためらいを感じるようになってしまい、1ヶ月ほど更新が滞ってしまいました。

その理由がまだ実にちっぽけなレベルの話でして、ありがたいことにツイッターでの記事ツイートにいいねやRTをしていただける数が増えてきたり、記事が検索上位に表示されるようになってきたりしてですね。(もちろんたかが知れてる規模で、本人の感覚に比べて、ということですよ。)

こんなセンスも経験もないクソ素人の記事をそれなりの多くの方が見てくださっていると思うと、もうちょっと責任ある情報を発信しないとダメだよなあと感じて、自分の中でぐんぐんハードルが上がって行っているという次第なのです。

そんなこと言い出したら、どのみちネット上は有象無象の情報ばかりですし、初心者目線で書いた記事をあげることこそこのブログのウリだったはずなんですけどね。

 

 で、だから何かというと、そんなふうに迷走しておりますので、このたび自分が制作に関わった曲がニコニコ動画にアップされたのでその紹介記事でお茶を濁そうというのが結論でした。よろしくどうぞ。

 

楽曲と制作メンバー

www.nicovideo.jp

 

雨がモチーフのしっとりバラードです。

作詞・作曲がみつき(MILKY)さんで(*)、今回僕が担当したのはアレンジとミックスです。優しくて繊細なイラストはたかツきさん。

みつきさんは「オレンジロード」という曲、たかツきさんは「見えたはずの世界」「Shooting Star」という曲で、それぞれ以前にもコラボさせていただきました。

 

(*)現在の活動名義は「MILKY」さん、「みつき」さんは1つ前の活動名義なのですが、個人的に馴染みがある「みつき」で呼ばせていただいています。

 

アレンジと言ってもメインのピアノは担当していない

この曲はほぼピアノメインのアレンジですが、そのピアノ部分は基本みつきさんが作られているので、実際のところは僕はほとんどお手伝いという程度です。その割に、自分の曲であるかように図々しくツイートしたりこうして記事を書いたりしているわけですけれども。

渡された時点で歌+ピアノでほぼできあがっていた状態でしたので、その魅力を台無しにしてしまわないように、と意識しました。

と言いながらも、2番でバンドインしてそこから間奏あたりまでいろんなパートが我も我もと主張を繰り広げるので、ミクさん的には「わたし気持ちよくピアノで弾き語っているのに外野うるさいぞ!!」になっているのかもしれない。そうなってたらごめんなさい。

そういえば学生オーケストラ時代、たまにソロ楽器のコンチェルトを演奏する機会があると「お前らは全員引き立て役だからf(フォルテ)と書いてあってもバカみたいに全力で弾いてはいけない」と指導役の先生によく言われた気がします。

今思い出してももう遅いですね。

 

コラボスタートから投稿まで

piapro.jp

 

2月の終わりにみつきさんがピアプロに上の投稿をしていて、シンセの仮メロ+ピアノ伴奏の状態だったのですが、「アレンジの上手な方誰か続きを作ってもらえませんか」とコメントがついていたので、当時自分はソライロ4部作の真っ最中で心に余裕がなかったのですが、「上手ではないけどよければやらせてください」とメッセージを送りました。

 平日の業務時間帯の、お客様との打ち合わせのための移動中で、地下鉄の駅でえいっとメッセージを送ったことをなんだか覚えています。(どうでもいい。)

 

実際にアレンジに着手したのが4月で、5月頭に曲ができあがり、よっしゃ動画投稿しようぜ〜となりまして、以前から自分がお世話になっているたかツきさんにイラストをお願いすることにしました。

このとき失敗したのが、 その時点であんまり発表時期のことを考えていなかったので「仕上がりはいつでもいいのでお好きなときに着手ください」と雑なことを言ってしまっていたのですよね。

なのに、5月終わりくらいになってから「これ雨の歌だから6月発表のほうが良くない?」と思い直して、急遽6月投稿目指して仕上げていただくスケジュールに変更をお願いしてしまいました。

無理を聞いていただいたたかツきさんには申し訳ないながらも大いに感謝しております・・!

 

6月23日の夜にイラストが仕上がり、動画は自分がやっつけで編集して6月25日の朝に共有化して、6月27日の夜に無事投稿。6月駆け込みになんとか成功しました。

 

なお、6月17日時点での状況がこちら。

よくそこから間に合ったものだなあと。笑

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よくツイッターのタイムラインで知り合いのボカロPさんが「夏の曲を作っている間に夏が終わりそう」みたいなことを言っているのを見ますが、季節モノだと逆算して着手しないといけないし、コラボだと専業の人でもなければ各自忙しい日常の合間にスケジュールを確保して進めるので、なおさら余裕を持つ必要がありますね。

(そういえばソライロのときにも投稿スケジュールのことで揉めに揉めた。学習していない自分・・)

 

楽曲の編成・工夫したところ

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トラック編成はこんな感じです。

  • ドラム
  • タンバリン
  • ベース
  • ピアノ
  • ストリングス(バイオリン2本、ビオラ、チェロ)
  • ハープ
  • アコースティックギター
  • シンセベル
  • オルガン
  • ミクさん2人

ミクさんはメインボーカルがみつきさんトコの子で、ハモり・コーラスがうちの子です。

以下、青字の2トラックを少しピックアップしてみます。

 

暗めでしっとりだけど主張するピアノ

ピアノはみつきさんから元ネタのMIDIをいただいて、僕のほうで少し編集しつつ音作り・ミックスをこちらで行いました。

 

音源はAddictive Keysを使っています。

Addictive Keysは質感がずっしりしている反面、繊細な音やきらびやかな音は出しづらくて、ポップスで他のオケに混ぜて使うのがちょうどいい、という評価が多いように思います。

今回のバッキングではピアノが主役ですが、雨がモチーフの暗め(重め)バラードということで、Addictive Keysでちょうどいいかもな、と思ったので使いました。

とはいえほぼ伴奏ソロのシーンもあったりするので、エキサイター(Nomad COSMOSを愛用しています)で倍音成分を膨らませたりして、もとの音源よりは気持ち派手めな音色にしています。

 

あとは、MIDIノートががっつりクオンタイズされているといかにも機械的な印象になる・・かもしれないので、DAWのヒューマナイズ機能と、手動での調整を併用して、ノートの開始位置を微妙にずらしたりとかいます。

このへんは別に中・上級テクでもなんでもないのですが、以前に以下の記事にまとめました。

 

frenchbread.hatenablog.com

 

 リバーブたっぷりタンバリン

音源はKontaktの標準ライブラリです。特に有力な音源も持っていないので。

ただ音作りや表現としてはピアノに次いで神経を使いました。

 

この曲の1番やラスト付近はピアノ+ストリングス少しという程度の静かな編成のバッキングにしていて、ドラムは2番近辺の盛り上がるところ以外はお休みにしています。

ただ、何もないと多少メリハリに欠けるので、リバーブたっぷりタンバリンを入れてみることにしました。

こうやって静かなバラードにリバーブたっぷりタンバリンをアクセント的に入れるのは、巷のバラードでもよく使われる手法の1つなんじゃないかと思います。

 

 

また、幸いKontakt標準ライブラリの音源には奏法が複数収録されていたので、できるだけ単調にならないよう、ベロシティと奏法をちまちまと変えて打ち込みました。

以下の記事で紹介した書籍で学んだコツを意識しています。

 

frenchbread.hatenablog.com

 

投稿後のフォロワーさんからの感想で、このタンバリンが印象的だったと言っていただけたりもしたので紹介してみました。

こういった細かいこだわりどころに気づいてもらえると、やはりうれしいですね!

 

 

ミックス基本のフェーダーワークをラウドネスメーターに助けてもらう

ミックスの最も基本である「トラックごとの音量バランス」のとりかた(フェーダーワーク)について、改めて見直そうと思った機会がありました。

僕のようなクソ耳の人が激しい失敗を少しでも防ぐようにするにはどうしたらいいか、と考え「ラウドネスメーターで音量バランスがおかしくないことを確認する」という方法を考えました。

 

見直そうと思ったきっかけ

※本論とは関係ないので、興味ない方は飛ばしてください。

先日以下の記事をアップしたところ、ボカロP仲間の方からは「なるほど使用後のほうがいいね」と意図どおりの反応をいただけたのですが、ある作編曲家の方から「そんなことより基本的な楽器の音量バランスが悪い」と指摘をいただきました。

指摘内容を確認したところ(該当記事の最後尾から飛べますが、この記事でのポイントは後述します)、たしかにおっしゃる通りとしか言いようがなく、そんなにひどかったのか・・と自分でも驚きました。

 

frenchbread.hatenablog.com

 

それから、最近よくお世話になっているzunx2さんというDTMer&ブロガーさんがいまして、迫力ある音作りやミックスがとても上手な方なのですが、彼も「むやみにプラグイン挿すよりまずはフェーダーのバランスが大事」とよく言っています。

zun2xさんのブログ:zunx2の暇つぶしDTMブログVer

 

自分では「自分のミックスが下手なのは、EQやらコンプやらディレイ・リバーブやらの効果的な使い方がわかってないからかな?」と思っていたのですが、それよりもっと手前のところで転んでいたことにようやく気付いた次第です。

 

そもそもフェーダーワークの基本って?

みなさん、いったいフェーダーワークの基本はどう習得したんでしょうか。

僕は最初は完全に行き当たりばったりでしたが、有名な下の本を読んで初めて「歌モノを作るなら初心者はまずこのあたり目指したらいい」という指針に触れることができました。

以降はそれをなんとなく頭に置いてバランスをとっている・・つもりでした。

 

www.rittor-music.co.jp

 

その指針については、あまり詳しく書くとパクリになってしまいますが、記事の都合上、主要部分の結論だけ紹介しておきます。

  • キックを最も大きく、次にボーカル
  • ついでスネアとベース。キックの9割くらい
  • その他バッキングはそれより小さく

「9割」は何らかの数値的指標ではなく、あくまで聴感的なイメージです。

また「バランスは曲によって違う」と思われる方もいるでしょうが、この書籍は初心者のためにわかりやすく割り切って書かれているものなので、ベーシックな方針として示されているというニュアンスです。

 

「ラウドネス」は比較的、人間の聴感上の音量に近いらしい

さて、ほとんどの方はご存じと思いますが、音量レベルのデジタルな指標の代表的なものに以下の3つがありますよね。

  • Peak:波形の振れ幅のうち最も大きなもの。人間はごく短い音はあまり大きく感じないため、聴感上の音量とはあまり紐付かない。Peakが0dbを越えると音がクリップする
  • RMS:波形の振れ幅の平均量。音圧の基準としてよく使う。
  • ラウドネス:音の周波数により人間の聴感上の感度が異なるため、その性質に応じて補正を行った値。聴感上の音量に近い。

 

Peakは瞬間的な振れ幅の最大値に過ぎないので、たとえば「スネアの音量をキックの音量の9割くらいにしようとして、メーターのPeak値を参考にした」とやってしまうと、まず意図とは大きく異なる結果になる可能性が高いですね。

では、参考にする値がラウドネスなら、比較的狙いに近い結果が得られるのではないでしょうか?

 

ということで、以下の方針でフェーダーワークを行うという実験をしました。

  1. サビ頭の4~8小説くらいをキックのソロで再生しながら、ラウドネスを計測する
  2. 同じ箇所をボーカルソロで再生しながらラウドネスを計測し、キックのラウドネスを超えないようにボーカルのフェーダーを調整する
  3. 以下同じように、ベース&スネア、ピアノやギター・・と続けていく

 

実験結果

では当ブログ恒例のビフォーアフター。まずビフォーは前回記事でミックスした音源です。

指摘を受けた音量の問題点としては大きく「ベース・ピアノが大きすぎる。ピアノに至ってはボーカルより大きい」でした。

 

そしてアフター、前述の方針でフェーダーワークを行った結果です。

 

ベースについては比べるとビフォー音源は明らかに大きいとわかります。ピアノはアフター音源ではおとなしくなりましたが、フレーズはちゃんと聴こえますね。

またベースやピアノが下がったため、アフター音源ではスネアがはっきり聴こえるようになっています。

 

アフター音源の主要パートのラウドネス値(サビ頭8小説)は下表のとおりです。

(ビフォー音源も併記したほうが良いと思うのですが、記録し損ねていたため後の祭り・・)

 「9割」といった数字は特に気にしていないのと、ボーカルはキックより大きい数値ですがハモりも含んでいるので、大きさの順序としては「音圧アップのための〜」に忠実に従ったつもり、です。

パート ラウドネス値
キック -27.2
スネア -30.4
ベース -30.6
ボーカル(ハモり含) -25.0
ピアノ -31.5

 

それから参考までに、両音源のEQのスナップショットです。ビフォー・アフターの順です。

今回はEQによる個々トラックの帯域バランスの見直しは基本行なっていませんが、ビフォーではローカットしすぎていたので、アフターではその点少し補正しています(それでも削りすぎでしょうか?)

そこを除いて比べると、ビフォーではベースが大きかったためか100-200Hzが膨らんでいること、高音域がかなり小さいことがわかります。

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よく比べないとわかりづらいかもしれないので、LogicのMatch EQというプラグイン(リファレンスの帯域分布に似せたEQを設定するためのツール)を応用して差を視覚化すると以下のようになりました。

「水平線より上がっている帯域=アフター音源がビフォー音源より大きくなった帯域」です。

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まとめ

今回のやり方のように細かい数値を計測して微調整しながらミックスをするというのは非音楽的な話で、まったく理想的な方法ではないことは自分でも承知しています。

とはいえ、僕のようにミックス沼で完全に溺れている人は、どこかで客観的な判断を入れるために計器の助けを借りるのも手段の一つかなと思います。

自分のフェーダーワーク、実はおかしいかも?と思った方、一度試されてみてはいかがでしょうか。